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日本と韓国を結ぶ架け橋 「IJKL」

 


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尹東柱(ユン・ドンジュ)文学館   (displayed 4669 times.)

  死ぬ日まで空を仰ぎ
  一点の恥辱なきことを、
  葉あいにそよぐ風にも
  わたしは心痛んだ。
  星をうたう心で
  生きとし生けるものをいとおしまねば
  そしてわたしに与えられた道を
  歩みゆかねば。

  今宵も星が風に吹き晒らされる。

尹東柱文学館全景・右端に見えるのは景福宮駅の方へ行くバス停
尹東柱(ユン・ドンジュ)さんをご存知ですか?
日本で獄死された詩人です。終戦の半年前に亡くなってしまいました。


詳しいことは、検索サイトで名前を入力すればすぐにヒットしますので省きますが、1942年日本に渡り、4月立教大学文学部英文科、それから9月に同志社大学文学部英文科に入学しています。
その後治安維持法に違反したとして、京都下鴨警察署に逮捕され、福岡刑務所で亡くなりました。1945年2月16日でした。
突き当りかと思ったら中に入ります
この獄死については詳しく調べられなかったそうですが、不明な注射を繰り返し打たれていたという証言があり、その死には疑問が残っています。

詩人ですが、生前に出版された詩集はありませんでした。今詠まれている『空と風と星と詩』はかなり有名です。
尹東柱が、時の政府に対して抵抗詩人だったのかどうかという議論は未だにあるそうですが、友人がハングルで書かれたこの詩と手紙を甕に入れて、地中に埋めていたために没収されずに残ったそうなのです。

城郭のそばの公園に置かれている「序詩」ここで記念撮影して行く人がたくさん
「紫霞門コゲ尹東柱文学館」のバス停の真ん前に建っています。入場も無料で貴重な資料が並べられています。昔の日本語で書かれた文書も展示されています。

監獄をイメージして作られたという箱のような建物があり、真っ暗な中で尹東柱についての映像が流れています。
入るのがためらわれる感じでしたが、「始まりますよ~」と声をかけられて入場しました。

文学館は小さいのですぐに見て回れます。

前回ご紹介した「ウンソンの家」を見下ろすように城郭を歩きましたが、その近くに「序詩(ソソ)」という詩が書かれた大きな石を見かけると思います。これが冒頭にご紹介した詩です。
ここはドラマロケ地でもあります。チソン、チェ・ガンヒの「ボスを守れ」やイ・チョンア主演の「かぼちゃの花の純情」などもここで撮影されていました。

立教大学では「詩人尹東柱を記念する立教の会」があり、同志社大学には記念碑が置かれています。日本留学前に現在の延世大学にも在籍していたので、記念碑と記念室が置かれています。

この尹東柱文学館は2012年7月に建立されました。だからとても新しいですね。
月曜・祝日休館、火曜~日曜10時~18時(11月~2月は17時閉館)、無料。

日本語のパンフレットはありませんでした。


たやすく書かれた詩

  窓辺に夜の雨がささやき
  六畳部屋は他人の国、

  詩人とは悲しい天命と知りつつも
  一行の詩を書きとめてみるか、

  汗の匂いと愛の香りふくよかに漂う
  送られてきた学費封筒を受けとり

  大学ノートを小脇に
  老教授の講義を聴きに行く。

  かえりみれば 幼友達を
  ひとり、ふたり、とみな失い

  わたしはなにを願い
  ただひとり思いしずむのか?

  人生は生きがたいものなのに
  詩がこう たやすく書けるのは
  恥ずかしいことだ。

  六畳部屋は他人の国
  窓辺に夜の雨がささやいているが、
  灯火をつけて 暗闇をすこし追いやり、
  時代のように 訪れる朝を待つ最後のわたし、

  わたしはわたしに小さな手をさしのべ
  涙と慰めで握る最初の握手。

2013-08-13(23:24:35) - 韓国の観光 - msm - TrackBack(No Trackbacks)

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